マナスル(Manaslu)は、ネパールの山。ヒマラヤ山脈に属し、標高8,163 mは世界8位の山です。
今回のマナスルを制作するに際し、竹内さんと何度も打ち合わせをしながら、日本人が唯一世界で初登頂した山で、日本人に比較的馴染みの深い山を日本人のトップウォーターフィッシングにとって基準とも言えるペンシルベイトで表現したい!そして、竹内さんからの提案はネパール仏教で用いられるタルチョという5色の旗が風にたなびくイメージにしたい!!と言うものでした。
このカラーにまつわる竹内さんのエピソードは以下。
ヒマラヤ登山は「プジャ」と呼ばれる、チベット仏教の祈りで始まります。
登山中に事故が無いように・・・登山が成功するように・・・
そして、なによりも、神聖な山の頂に立つことの許しを神に乞う儀式です。
そのプジャで祈りと共に捧げられるのが「タルチョ」と呼ばれる色とりどりの旗で、
青・白・赤・緑・黄の旗は、空・風・火・水・大地の色を表し、チベット仏教のコスモロジーを表しています。
(水が豊かな土地に草が茂り家畜が育つため、草の緑で水を表していると言われます)
タルチョが風にはためくと、そこに書かれた経文が風に乗り、願いと共に神に届けられると信じられているのです。
2007年の春、私は、マナスルのベースキャンプで登山の始まりを待っていました。
天気が悪く、いまだにマナスルは、鉛色の重たげに光る雲の中に閉ざされ、その姿を見せません。
朝から風に雪の舞う中、麓の村の寺院から、私たちのプジャのためにラマ(僧侶)が太鼓を担いでやってきました。
プジャが始まり、低く響くラマの読経と鼓動のような太鼓に合わせるかのように、雪と風が呼吸をしています。
そして、ラマの合図で、いくつにも連なったタルチョが祭壇から広げられ、風を受けて一斉に勢いよくはためくと、
それまで、厚く閉ざしていた雲に、突然、切れ目が広がり、そのわずかな隙間に、青空とマナスルの頂上が姿を現したのです。
それは、瞬間にも満たない刹那の出来事でした。
息を飲んで見とれる私たちを、置き去りにするように、マナスルは、再び雲の向こうに姿を消してしまいました。
1956年に、マナスルは、日本人によって初登頂されました。
その時も、マナスルの空には、タルチョが、はためいていたはずです。
日本人が初めて登ったマナスルだからこそ、日本人である私には、風にタルチョがはためく様子さえもが日本的な風情として心に刻まれました。
激しく、はためくタルチョが、私にヒマラヤの風の姿を見せてくれたのです。
マナスルを閉ざす雲を切り開いた、ヒマラヤの風にはためくタルチョを、タマタマルアーに再現していただきました。
~竹内洋岳~
このエピソードを元に何度もカラーサンプルを作っては竹内さんと修正を繰り返し、10cm程のルアーに霧と雲に包まれた世界にタルチョが風にはためく景色を表現するなんて、しかもその景色は竹内さんの見た世界であって、参考写真がある訳では無く、あくまでも言葉と文字のニュアンスからイメージをトレースすると言う答えの見えない作業に行き詰った最後に偶然出来たカラーの写真をダメ元で見て頂いた瞬間!!
「コレだ!!!!」と。。。
僕にとっても祈るような気持ちで重く立ち込めていた雲が一瞬で晴れた様な、まさにプジャで霧が晴れた奇跡の再現の様な気分でした。
そして出来上がったのが今回のカラーであり、今回のマナスル8163なのです。
ボディー長100mm/21g±と言う本当に誰が使っても使い易いスペックに仕上げました。
ウッド比重の硬質発泡樹脂で作る事で安定したバランスを実現。
画像では分りにくいですが、リグからお尻にかけては三角形のエッジの様なベリー形状。
これはマナスル頂上手前のナイフリッジと呼ばれるナイフの様に鋭く切り立った尾根をイメージしました。
これにより切れのある鋭いターンをしてくれます!
目の部分が窪んでいる事でスライドターンの際に水を押し広げて強い引き波を出します。
Tロゴリグプレート仕様で14TamaTma Manaslu 8163のネームを。
僕がペンシルベイトに求めるダイビングを伴う水面を舐める様なワイドターンと、クイックで鋭角なドッグウォークが得意なペンシルに仕上がってます。
価格は¥7560(税込み)。
本日から数量限定でOraora.DEPOにて販売開始いたします!
是非この機会にこのルアーを通してマナスルに流れるヒマラヤの風を感じて頂けたらと思います。
竹内洋岳公式ブログも是非ご覧下さい!!!